<園長先生のつぶやき
その26 教育実習>
今日も朝から事件です。
Aくんが事務室前の草むらでトカゲを見つけたらしく、2~3匹いたことを友だちに目を丸くして得意そうに話をしていました。
それを聞きつけたBくんが何の根拠に基づいてかわかりませんが、「それはトカゲじゃないよ。ヤモリだよ。」とAくんに攻めよって口論となりました。
何かあったのかと次から次へと友だちが寄ってきて、Aくん派とBくん派に分かれて大変なことになりました。
お互い一歩も譲らず睨み合っていると、そこへある女の子が割り込んできて「ここへ逃げ込んだのだからしばらく待ってみて、出てきたらわかるよ。」と仲裁に入ってくれました。
みんなはその意見に反論することなくじっとその逃げ込んだ場所を見つめていました。
しばらくみんなで出てくるのを待っていましたが、出てくる気配が全くないので、一人また一人と教室へ戻っていきました。
子ども達が去ってしばらくすると、小さなトカゲが顔を左右にのぞかせながら出てきたのを私は見ました。でも、トカゲだったことは子ども達にはいえない。
だって、園長先生だから・・・。
【教育実習】
文部科学省が令和4年度1月に公表した実態調査によると、教員が不足しているということが明らかになりました。
その理由の一つに教員を目指す人の割合が減っているということがあげられています。
勿論、幼児教育も例外ではなく、幼稚園では採用したくても希望する先生がいないという深刻な問題が発生しています。
ある幼児教育科の学生の進路希望調査によると、学生の4割が保育園、4割が企業など他の職種、2割が幼稚園で、しかも希望した学生のうちの2割しか幼稚園に就職していなかったという話を園長研修会の講師から聞きました。
そこで今、教育現場では教育実習の充実が図られるようになってきました。
教育実習を通じて実習生に「私も幼稚園の先生になりたいな!(子どもにかかわる仕事に就きたいな)」という憧れの気持ちを育てることに注力しています。
本園の教育実習は、はじめに「教育実習の手引き」をもとに全職員で実習生の受け入れから終了までのすべてを共通理解します。
また、教育実習生対象のガイダンスでは、教育実習責任者、教育実習生指導教諭から実習生に対して丁寧な説明が施されます。このようにして不安な心を抱いてやってきた実習生に対して安心していいスタートができるよう配慮しています。
実習生には卒業後すぐ幼稚園の先生になっても困らないように、部分保育(幼稚園における1日の中の決まった時間だけ、実習生が主体となって「朝の会」などのクラスの保育指導を行うこと)や観察(園バス乗務、預かり保育などの様子を観察する)、昼食指導など、幼稚園教諭のすべての活動を体験してもらいます。
教育実習が終わったとき「幼稚園の先生は楽しいやりがいのある仕事」、実習ノートを読み返したくなるような日誌を学生が書く内容の実習にしなくてはなりません。
子どもの日々の成長に驚いたり、子どもが自ら育とうとする姿を見て感動したり、子どもの興味・関心を大切にして環境を構成する先生の姿に憧れたりしたとき、きっと充実した教育実習となり「自分は絶対幼稚園の先生になる」と決心が固まるはずです。
幼稚園の先生の採用に苦労している現状ですが、採用とは関係なく教育実習では、将来私たちの仲間として子どもと真剣に向き合える先生を一人でも多く育てるという強い思いで、ちどり幼稚園はこれからも真剣に教育実習生を受け入れていきます。